彼女はまだ小説を書き続けているだろうか?
だとしたら、すごいことだ。
初めて彼女の小説の原稿を読んだとき、身近にこんな才能を持った子がいたことが衝撃だった。
自費出版の手伝いができればと思ったこともある。
高校生になりパソコンでも購入しているなら、案外メルマガで自分の書いた小説を投稿しているかもしれない。
ならば、出版への道も開かれたようなものだ。
彼女なら自分で自分の道を
きっと切り開いていくことだろう。
みんなが思いやりのある愛にあふれた人間になればいいのです。
そうなれば、いじめはもちろんこの世のすべての問題は解決します。
しかし、思いやりのある愛にあふれた人間になるのが難しい。
このブログは私の知っている今中学3年生の女の子のつくる物語を、
彼女の許可を得て転載していくものです。
この子は小さい頃からいじめを受けることがありました。
「きもい」「死ね」「ばか」ひどい言葉をどれほど言い続けてこられたことでしょうか?
最初は悩み、苦しみ、泣いていた彼女でしたが、
少しずつそうされる自分を客観視することを覚えはじめました。
もともと小説を書くことが好きだったので、いじめられる度、あるいは嫌なこと困ったことに出会う度、「あっ、これは小説のネタになるぞ」と思えるようになったのです。
彼女はだんだん強くなりました。
逆境をばねにできるようになってきました。
これから、少しずつ彼女の書いた小説を発表していきます。
いつでも、彼女の頭の中は物語でいっぱいです。
しかも、ひとつの物語ではなく、いくつもの物語が同時に進んでいっています。
さあて、彼女の物語はいったいどんなふうに展開していくのでしょうか。
それでは、彼女から渡された原稿用紙の中身を少しずつ書き写していこうと思います。
あれからもう何年たんだろう?
あれからもう何年たったんだろう?
思えば、あの女の子と話せた時間はとても楽しかった。
彼女の小説をブログを通して発信することは、この上なく楽しみだった。
また、そういう日が来るのだろうか。
交流がなくなってからぼくは忙しい日々を送っている。
1日12時間以上は仕事をしている。
帰ってくるのも、午前1時半を過ぎることも多い。
ときどき、無性にあの頃が懐かしくなる。
朝から深夜まで仕事に携わるぼくが、かつてのようなことをしていくためには、細切れの時間を活用していくしかない。
そのためのひとつの手段として、ぼくはノートパソコンを購入することに決めた。
最初はミニノートを検討していたのだが、いろいろ考えた末ノートパソコンの方がいいと思い始めたのだ。
そう思い始めたらすぐにでもほしくなってくるのが人情である。
さて、どこのメーカーのものにしたらいいものか・・・。
思えば、あの女の子と話せた時間はとても楽しかった。
彼女の小説をブログを通して発信することは、この上なく楽しみだった。
また、そういう日が来るのだろうか。
交流がなくなってからぼくは忙しい日々を送っている。
1日12時間以上は仕事をしている。
帰ってくるのも、午前1時半を過ぎることも多い。
ときどき、無性にあの頃が懐かしくなる。
朝から深夜まで仕事に携わるぼくが、かつてのようなことをしていくためには、細切れの時間を活用していくしかない。
そのためのひとつの手段として、ぼくはノートパソコンを購入することに決めた。
最初はミニノートを検討していたのだが、いろいろ考えた末ノートパソコンの方がいいと思い始めたのだ。
そう思い始めたらすぐにでもほしくなってくるのが人情である。
さて、どこのメーカーのものにしたらいいものか・・・。
第6話 武器商人U その6
次の日、武器商人はアリの巣のみんなに見送られて去っていった。
「次はいつ来るの?」
「まだいてよぉ。」
そう言ってぐずる子ども達の頭をなでて武器商人は言った。
「そうだねぇ。君達が困ったらまたやってくるよ。」
「わぁ、ヒーローみたいだねぇ。」
「何がヒーローよ。」
そんな様子をみて、アクトがとげのある声で言った。
オレの頭の中では、まだ武器商人の言葉が何度も再生されて、ぐるぐると渦巻いていた。
折り重なる砂丘につぶされそうになりながら、その大きな穴は存在していた。入口は半分砂にうもれ、中の通路もところどころくずれている。
「へぇ、炭鉱ですか。かなり昔のものですね。」
四角い口をあけている穴の前に二人の人間が立っていた。一人は十代半ばほどの少年、もう一人は三十代後半くらいの男だ。二人とも暑い砂漠の中だというのに分厚いマントをはおっていて、大きなリュックを背負っている。
「中は迷路のように入り組んでいるし、鉄鉱石や石炭が取れる。ハームフルの住みかには最適だろう。」
男の方が無愛想な声で言った。
「ふーん、一週間も砂漠を歩き続けた価値はありそうですね。先生って意外に有能だったんですねぇ。初めて知りましたよ。」
少年が炭鉱の入口を見上げながら言った。
「てめぇ、破門にすっぞ、コラ。」
「やだなぁ。先生について行ける人間なんて僕くらいですよ。」
少年はにっこりと笑った。
「さあ、入りましょう。」
・・・・つづく
次回の発行は今のところ未定です。
「次はいつ来るの?」
「まだいてよぉ。」
そう言ってぐずる子ども達の頭をなでて武器商人は言った。
「そうだねぇ。君達が困ったらまたやってくるよ。」
「わぁ、ヒーローみたいだねぇ。」
「何がヒーローよ。」
そんな様子をみて、アクトがとげのある声で言った。
オレの頭の中では、まだ武器商人の言葉が何度も再生されて、ぐるぐると渦巻いていた。
折り重なる砂丘につぶされそうになりながら、その大きな穴は存在していた。入口は半分砂にうもれ、中の通路もところどころくずれている。
「へぇ、炭鉱ですか。かなり昔のものですね。」
四角い口をあけている穴の前に二人の人間が立っていた。一人は十代半ばほどの少年、もう一人は三十代後半くらいの男だ。二人とも暑い砂漠の中だというのに分厚いマントをはおっていて、大きなリュックを背負っている。
「中は迷路のように入り組んでいるし、鉄鉱石や石炭が取れる。ハームフルの住みかには最適だろう。」
男の方が無愛想な声で言った。
「ふーん、一週間も砂漠を歩き続けた価値はありそうですね。先生って意外に有能だったんですねぇ。初めて知りましたよ。」
少年が炭鉱の入口を見上げながら言った。
「てめぇ、破門にすっぞ、コラ。」
「やだなぁ。先生について行ける人間なんて僕くらいですよ。」
少年はにっこりと笑った。
「さあ、入りましょう。」
・・・・つづく
次回の発行は今のところ未定です。
第6話 武器商人U その5
「な、なんだよ、あんた。」
「ちょっと、のぞき?!」
「いつのまに来たんだ・・・。」
オレ達3人はおどろいてそれぞれ声をあげた。
「そんなにおどろくことないじゃないか。」
「世界がせまいって、どういう意味だよ。」
サクが武器商人をにらんだ。
「どーどー。そんな敵対心をむきだしにしないで。世界がせまいというのはねぇ、君達が人間を無意味に敵対視しすぎだってことさ。まっ、しかたないんだけどね。」
「当たり前でしょ。私達がどれだけ人間に苦しめられてきたか知らないわけないわよね!」
「そうなんだけどさ。頭がかたいと生き残れないよ。この世界は。ハームフルを助けようとする人間だってたくさんいる。」
「疑うことも必要ですよ。人間を信用したって命を落とすだけだ。あいつらはハームフルを嫌っていますから。」
「例えばPHMとかさ。」
武器商人はサクを無視して話を進めた。
「PHMってのはハームフルを支援する団体でさ、裏でいろいろ活動してるんだよ。私が政府にバレないでハームフル相手に商売してるのもPHMのお陰さ。」
それから、オレ達の困惑した顔を見てにやりと笑った。
「信じられない?」
オレ達は何も言わなかった。3人とも、ただ人間にオレ達を助けようなんてする奴がいるのを知って、あ然として、何を言っていいのか分からないのだ。
「まぁ、要するに、やたらに憎んではいけないって事だよ。君達ならきっといつか分かってくれると思うんだけどね。」
「ちょっと、のぞき?!」
「いつのまに来たんだ・・・。」
オレ達3人はおどろいてそれぞれ声をあげた。
「そんなにおどろくことないじゃないか。」
「世界がせまいって、どういう意味だよ。」
サクが武器商人をにらんだ。
「どーどー。そんな敵対心をむきだしにしないで。世界がせまいというのはねぇ、君達が人間を無意味に敵対視しすぎだってことさ。まっ、しかたないんだけどね。」
「当たり前でしょ。私達がどれだけ人間に苦しめられてきたか知らないわけないわよね!」
「そうなんだけどさ。頭がかたいと生き残れないよ。この世界は。ハームフルを助けようとする人間だってたくさんいる。」
「疑うことも必要ですよ。人間を信用したって命を落とすだけだ。あいつらはハームフルを嫌っていますから。」
「例えばPHMとかさ。」
武器商人はサクを無視して話を進めた。
「PHMってのはハームフルを支援する団体でさ、裏でいろいろ活動してるんだよ。私が政府にバレないでハームフル相手に商売してるのもPHMのお陰さ。」
それから、オレ達の困惑した顔を見てにやりと笑った。
「信じられない?」
オレ達は何も言わなかった。3人とも、ただ人間にオレ達を助けようなんてする奴がいるのを知って、あ然として、何を言っていいのか分からないのだ。
「まぁ、要するに、やたらに憎んではいけないって事だよ。君達ならきっといつか分かってくれると思うんだけどね。」
第6話 武器商人U その4
武器商人は常に無表情で、話し方も感情が全然こもってないけど、リアやセイカやキトリやナヅルやクカや、他のアリの巣のみんなが商品を目にして喜んでいるとき、かすかにおだやかでうれしそうな顔をする。そういう武器商人を見てると、もしかしたら人間だけどそんなに悪い奴じゃないんじゃないかって思う。
でも・・・
「やっぱり気にいらねぇんだよな。人間なんて。」
岩場のかげで久しぶりの豪勢な朝食を口にしながらオレはつぶやいた。
「本当にあの人たち何考えてんのかしら。人間とまともに渡り合うなんて頭おかしいんじゃないの。」
アクトもまるで吐き捨てるように言った。
「ていうか何でオレ達と一緒にいるんだよ、てめぇは。クカ達と一緒にいればいいじゃねぇか。」
アクトはフンッと鼻をならしてそっぽを向いた。どうやら班のメンバーとはうまくいってないらしい。アクトは人に合わせるということをしない奴らだからな。
「俺はあの人の話し方が嫌いだ。」
サクが言った。
「棒読みでよ。顔だって始終無表情だし、何を考えてるか分かりゃしねぇ。」
その時、
「世界がせまいなぁ。」
と、ふいに声がした。びっくりして上を見ると、岩の上から武器商人がオレ達をのぞきこんでいた。
でも・・・
「やっぱり気にいらねぇんだよな。人間なんて。」
岩場のかげで久しぶりの豪勢な朝食を口にしながらオレはつぶやいた。
「本当にあの人たち何考えてんのかしら。人間とまともに渡り合うなんて頭おかしいんじゃないの。」
アクトもまるで吐き捨てるように言った。
「ていうか何でオレ達と一緒にいるんだよ、てめぇは。クカ達と一緒にいればいいじゃねぇか。」
アクトはフンッと鼻をならしてそっぽを向いた。どうやら班のメンバーとはうまくいってないらしい。アクトは人に合わせるということをしない奴らだからな。
「俺はあの人の話し方が嫌いだ。」
サクが言った。
「棒読みでよ。顔だって始終無表情だし、何を考えてるか分かりゃしねぇ。」
その時、
「世界がせまいなぁ。」
と、ふいに声がした。びっくりして上を見ると、岩の上から武器商人がオレ達をのぞきこんでいた。
第6話 武器商人U その3
ずいぶん久しぶりの投稿です。私事でなかなか手につかない状況でした。
待っていてくださった方々、ごめんなさい。
それでは、続きをどうぞ。
「まだ寝てると思いますよ。」
リアが言った。
「クカは朝が苦手ですから。」
(寝坊したのはオレだけじゃなかったんだな。少しホッとしたぜ。)
「だぁれぇが寝てるって?! もう起きてるよ。」
ふいに、ショートカットの少女が後ろからアクトに寄りかかってきた。
「ちょっと!さわらないでよね。」
「ごめん・・・。だって、同じチームじゃないか・・・。」
少女はしゅんとした声で言った。
「クカ、本を買ってきたよ。ほら。」
武器商人が、クカと呼ばれた少女に何冊かのボロボロの分厚い本をいくつか差し出した。
「本か、めずらしいなぁ。」
オレは思わずつぶやいた。本なんてモノはもう何百年も前になくなった人間の文化のはずだ。
「知り合いの本コレクターにゆずってもらったのさ。保存状態がいいだろ?最近の人間は全てコンピューターだからね。手に入れるのに苦労したよ。」
「ありがとうね。わざわざ。何だか悪いね。」
「なぁに、君らのおかげで私ももうけてるからね。」
「それ、どういうことですか?」
サクが聞いた。涼しい顔だが目だけは冷たく武器商人をにらんでいる。
「まっ、ボランティアでこんなことしてるわけじゃないんでね。この砂漠の地下に鉄鉱石の取れる洞窟があるのさ。私はアント達が取った鉄鉱石を売って、その金でいろんな物を買っている。れっきとしたビジネスなわけさ。」
「でも、ワタシ達ハームフル相手に商売する人間なんて初めて見たよ。見つかったら即、死刑だろうにさ。トンビさんは人間の鑑だよ。よっ、かがみぃ。」
「言いすぎだよ、クカ。」
武器商人は首をふった。
「そんなことないですよぉ。いっつもトンビのおかげで助かってるんですから。」
リアが言った。武器商人はうれしそうに目を少し細めた。
待っていてくださった方々、ごめんなさい。
それでは、続きをどうぞ。
「まだ寝てると思いますよ。」
リアが言った。
「クカは朝が苦手ですから。」
(寝坊したのはオレだけじゃなかったんだな。少しホッとしたぜ。)
「だぁれぇが寝てるって?! もう起きてるよ。」
ふいに、ショートカットの少女が後ろからアクトに寄りかかってきた。
「ちょっと!さわらないでよね。」
「ごめん・・・。だって、同じチームじゃないか・・・。」
少女はしゅんとした声で言った。
「クカ、本を買ってきたよ。ほら。」
武器商人が、クカと呼ばれた少女に何冊かのボロボロの分厚い本をいくつか差し出した。
「本か、めずらしいなぁ。」
オレは思わずつぶやいた。本なんてモノはもう何百年も前になくなった人間の文化のはずだ。
「知り合いの本コレクターにゆずってもらったのさ。保存状態がいいだろ?最近の人間は全てコンピューターだからね。手に入れるのに苦労したよ。」
「ありがとうね。わざわざ。何だか悪いね。」
「なぁに、君らのおかげで私ももうけてるからね。」
「それ、どういうことですか?」
サクが聞いた。涼しい顔だが目だけは冷たく武器商人をにらんでいる。
「まっ、ボランティアでこんなことしてるわけじゃないんでね。この砂漠の地下に鉄鉱石の取れる洞窟があるのさ。私はアント達が取った鉄鉱石を売って、その金でいろんな物を買っている。れっきとしたビジネスなわけさ。」
「でも、ワタシ達ハームフル相手に商売する人間なんて初めて見たよ。見つかったら即、死刑だろうにさ。トンビさんは人間の鑑だよ。よっ、かがみぃ。」
「言いすぎだよ、クカ。」
武器商人は首をふった。
「そんなことないですよぉ。いっつもトンビのおかげで助かってるんですから。」
リアが言った。武器商人はうれしそうに目を少し細めた。
第6話 武器商人U その2
武器商人は持っていた大きなトランクを地面におろした。トランクを開けると、中には大きな銃が三つ入っていた。
「ひとつはレーザーガン、あとのふたつは弾が必要だ。弾は向こうの荷物に入ってる・・・。」
武器商人はピューっと口笛を吹いた。すると向こうにいたフライが飛んできて、オレのとなりに着地した。
「きゃあ!」
アクトが叫んでオレからはなれた。オレも無言で飛びのいた。
武器商人はフライにぶらさげていた皮袋をむいくつか広げた。中には果物や食糧がたっぷり入っている。
「すごい!これで1ヶ月はもちますよ。ありがとうございます!」
リアが歓声をあげて武器商人に抱きついた。
「う〜ん、これは市民の半月分の残飯なんだけどな。これで1ヶ月ももつとはさすがハームフルはたくましい。」
「いやいや、毎回あなたのお陰で助かっているよ。」
キトリがほほえんで言った。
・・・(あのキトリがあんなやわらかい顔をするとは思わなかったな。それほどあの武器商人はみんなから信頼されているみたいだ)
「セイカ、絵の具と紙を持ってきたよ。」
武器商人は、たくさんの紙の束と、紙で作られた小さな箱をセイカに手渡した。
「わぁ!ありがとうございます、トンビさん。これでまた新しい絵が描けますよ。」
「君の絵はうまいからね。この前知人に見せたら、君の絵をとてもほめていたよ。」
「惜しいなぁ。人間だったら大画家になっていたかもしれないのに。」
ナヅルが言った。セイカの表情が少しくもった。
「人間じゃなくたってセイカは大画家ですよ。また似顔絵を描いてくださいね。」
リアが言った。
「へぇ、セイカって絵がうまかったんだな。」
オレが言うとセイカは得意気に笑った。
「今度見せろよな。」
「うん、たくさんあるんだ。」
「ところで、クカはどこにいるのかな?」
武器商人が言った。
「ひとつはレーザーガン、あとのふたつは弾が必要だ。弾は向こうの荷物に入ってる・・・。」
武器商人はピューっと口笛を吹いた。すると向こうにいたフライが飛んできて、オレのとなりに着地した。
「きゃあ!」
アクトが叫んでオレからはなれた。オレも無言で飛びのいた。
武器商人はフライにぶらさげていた皮袋をむいくつか広げた。中には果物や食糧がたっぷり入っている。
「すごい!これで1ヶ月はもちますよ。ありがとうございます!」
リアが歓声をあげて武器商人に抱きついた。
「う〜ん、これは市民の半月分の残飯なんだけどな。これで1ヶ月ももつとはさすがハームフルはたくましい。」
「いやいや、毎回あなたのお陰で助かっているよ。」
キトリがほほえんで言った。
・・・(あのキトリがあんなやわらかい顔をするとは思わなかったな。それほどあの武器商人はみんなから信頼されているみたいだ)
「セイカ、絵の具と紙を持ってきたよ。」
武器商人は、たくさんの紙の束と、紙で作られた小さな箱をセイカに手渡した。
「わぁ!ありがとうございます、トンビさん。これでまた新しい絵が描けますよ。」
「君の絵はうまいからね。この前知人に見せたら、君の絵をとてもほめていたよ。」
「惜しいなぁ。人間だったら大画家になっていたかもしれないのに。」
ナヅルが言った。セイカの表情が少しくもった。
「人間じゃなくたってセイカは大画家ですよ。また似顔絵を描いてくださいね。」
リアが言った。
「へぇ、セイカって絵がうまかったんだな。」
オレが言うとセイカは得意気に笑った。
「今度見せろよな。」
「うん、たくさんあるんだ。」
「ところで、クカはどこにいるのかな?」
武器商人が言った。
第6話 武器商人U その1
オレ達ハームフルには人間には分からない微電流のようなものが流れているらしい。だからオレ達は数十メートル近づけば、そこにいるのが人間だかハームフルだかだいたい分かる。だからオレの目の前にいる武器商人とかいう奴が人間であることはまちがいないのだ。
「な、なんで人間がここにいるんだよ!」
オレはとなりにいたセイカにひそひそ声でたずねた。
「彼は悪い人間じゃないよ。」
セイカはにこにこと笑いながらあっけらかんと答えた。
「バカ!人間にいいも悪いもあるかよ。何たくらんでるか分かりゃしねぇぞ。」
「レーン!」
アクトが叫んでオレの背中をバシッとたたいた。
「おはよう、ねぼすけさん。目は覚めたかしら?」
「うるせぇな。っていうか何で人間がいるんだよ!」
「だからぁ、彼はいい人間なんだって。」
「よっ、さわがしいなお前ら。」
オレ達がぎゃあぎゃあとさわいでいると、サクもやって来た。うしろからリアも駆けてきた。後ろには武器商人もいる。オレは思わず身をかたくした。
「トンビ、彼らが昨日からここにいるレンとサクとアクトです。しばらくここに滞在するってサクが言ってました。だから私達の仲間です。」
「どうも。私は武器商人だ。トンビと呼んでくれよ。」
武器商人が抑揚のない声で言った。大きなフードで顔をすっぽりとおおっていて黒くやけた肌と深い茶色の目以外は見えないが、けっこう若そうだ。オレ達とそんなに歳は変わらないんじゃないのか。武器商人はオレ達をじろりと見て
「そうだ。せっかくだし商品を紹介しようかな。」
と言った。いつの間にかオレ達の周りにキャンプのハームフルたちが集まっていた。
「な、なんで人間がここにいるんだよ!」
オレはとなりにいたセイカにひそひそ声でたずねた。
「彼は悪い人間じゃないよ。」
セイカはにこにこと笑いながらあっけらかんと答えた。
「バカ!人間にいいも悪いもあるかよ。何たくらんでるか分かりゃしねぇぞ。」
「レーン!」
アクトが叫んでオレの背中をバシッとたたいた。
「おはよう、ねぼすけさん。目は覚めたかしら?」
「うるせぇな。っていうか何で人間がいるんだよ!」
「だからぁ、彼はいい人間なんだって。」
「よっ、さわがしいなお前ら。」
オレ達がぎゃあぎゃあとさわいでいると、サクもやって来た。うしろからリアも駆けてきた。後ろには武器商人もいる。オレは思わず身をかたくした。
「トンビ、彼らが昨日からここにいるレンとサクとアクトです。しばらくここに滞在するってサクが言ってました。だから私達の仲間です。」
「どうも。私は武器商人だ。トンビと呼んでくれよ。」
武器商人が抑揚のない声で言った。大きなフードで顔をすっぽりとおおっていて黒くやけた肌と深い茶色の目以外は見えないが、けっこう若そうだ。オレ達とそんなに歳は変わらないんじゃないのか。武器商人はオレ達をじろりと見て
「そうだ。せっかくだし商品を紹介しようかな。」
と言った。いつの間にかオレ達の周りにキャンプのハームフルたちが集まっていた。
第5話 武器商人T その2
「今日リアさんが言ってただろ、砂漠で2人組のインセクトバスターを見たって。砂漠は広い。まだまだ人間達がうろついているかもしれねぇ。その中をこれからも旅していって俺達は生き残れると思うか?」
「えっ?」
何も答えられないオレに、サクはさらに問いかけた。
「俺達は何の武装もしてないし、アクトは使えねぇ。もしもインセクトバスターに出くわした時、逃げ切れると思うか?!」
「それは・・・」
「俺達は無茶が多すぎるんだよ。俺は・・・しばらくここで世話になってもいいと思う。みんなと会うためにも、まず俺達が生きよう。」
「でも、それでいいのかよ。」
オレはそれだけつぶやくように言ったがあとは何も言えなかった。たしかにオレ達だけでこれからも砂漠をさまよいつづけることはむずかしい。サクの言いたいことは分かってるしそれが正しいってことも知っている。でも、心の中でもうひとりのオレが「これでいいのか?」って叫んでる。
「アクトにも・・・伝えないとな。」
オレはなんとかそれだけ言った。これ以上口を開くと納得のいかないこの想いをサクにぶつけてしまう。
「テントに戻ろうぜ。セイカとナヅルがきっと心配してる。」
オレの気持ちを知ってか知らずか、サクが言った。
もう少しここにいるかもしれないということを2人に伝えたら、2人はとても喜んでいた。狭すぎて寝返りもうてないテントの中、オレはなかなか寝つけなかった。
夜おそくまで起きていたせいか、オレは寝過ごしてしまって、目を覚ましたのは朝の6時ごろだった。
「あれ、レンくん今起きた?」
「寝坊してすまねぇな、セイカ。」
「別にいいさ。」
セイカは笑って手を振った。
「そんなことよりも今武器商人が来てるんだ。レンくんも見に行こうよ。」
「武器商人?」
見てみるとテント群の中央にある小さな広場にみんなが集まっているのが見えた。どうやらフライのとなりにいる背の高い人物(といってもアント達と比べて、だけど・・・)が武器商人のようだ。ちなみにフライっていうのもハームフルの一種で、見た目がグロテスクなのと細菌を運ぶという理由で人間から嫌われている。毛むくじゃらの黒い体に四つの半透明の羽、そして大きな目を持っている。この目っていうのが小さな何百個もの目が合わさって出来ていて、近くで見るとかなりキモい。ただ、速くて移動能力にすぐれているから乗り物にするにはもってこいだ。フライみたいにハームフルの中にも人間に似ても似つかない奴らがけっこういる。
しかし、オレはその武器商人の近くまで行ってぎょっとした。フライのとなりでみんなに囲まれているその武器商人は、確かにどう見ても、人間だったからだ。
「えっ?」
何も答えられないオレに、サクはさらに問いかけた。
「俺達は何の武装もしてないし、アクトは使えねぇ。もしもインセクトバスターに出くわした時、逃げ切れると思うか?!」
「それは・・・」
「俺達は無茶が多すぎるんだよ。俺は・・・しばらくここで世話になってもいいと思う。みんなと会うためにも、まず俺達が生きよう。」
「でも、それでいいのかよ。」
オレはそれだけつぶやくように言ったがあとは何も言えなかった。たしかにオレ達だけでこれからも砂漠をさまよいつづけることはむずかしい。サクの言いたいことは分かってるしそれが正しいってことも知っている。でも、心の中でもうひとりのオレが「これでいいのか?」って叫んでる。
「アクトにも・・・伝えないとな。」
オレはなんとかそれだけ言った。これ以上口を開くと納得のいかないこの想いをサクにぶつけてしまう。
「テントに戻ろうぜ。セイカとナヅルがきっと心配してる。」
オレの気持ちを知ってか知らずか、サクが言った。
もう少しここにいるかもしれないということを2人に伝えたら、2人はとても喜んでいた。狭すぎて寝返りもうてないテントの中、オレはなかなか寝つけなかった。
夜おそくまで起きていたせいか、オレは寝過ごしてしまって、目を覚ましたのは朝の6時ごろだった。
「あれ、レンくん今起きた?」
「寝坊してすまねぇな、セイカ。」
「別にいいさ。」
セイカは笑って手を振った。
「そんなことよりも今武器商人が来てるんだ。レンくんも見に行こうよ。」
「武器商人?」
見てみるとテント群の中央にある小さな広場にみんなが集まっているのが見えた。どうやらフライのとなりにいる背の高い人物(といってもアント達と比べて、だけど・・・)が武器商人のようだ。ちなみにフライっていうのもハームフルの一種で、見た目がグロテスクなのと細菌を運ぶという理由で人間から嫌われている。毛むくじゃらの黒い体に四つの半透明の羽、そして大きな目を持っている。この目っていうのが小さな何百個もの目が合わさって出来ていて、近くで見るとかなりキモい。ただ、速くて移動能力にすぐれているから乗り物にするにはもってこいだ。フライみたいにハームフルの中にも人間に似ても似つかない奴らがけっこういる。
しかし、オレはその武器商人の近くまで行ってぎょっとした。フライのとなりでみんなに囲まれているその武器商人は、確かにどう見ても、人間だったからだ。
第5話 武器商人T その1
「この難民キャンプでは人間達の襲撃から生き延びた100人弱のハームフル達が暮らしているんですよ。」
キャンプに着いたときにリアが説明してくれた。
「アリの巣の人口は千人以上だったのに・・・100人弱か。」
サクがぽつりとつぶやいた。生き残ったアントや、ほかのハームフル達はそれぞれ3、4人の班に別れて、それぞれ協力し合って生きていた。キャンプのテントは大人2人がやっと入れるような小さなもので、そこに班のアント達は身を寄せ合って暮らしている。オレ達と同じテントになったのはナヅルとセイカという2人組でオレ達はすぐに仲良くなった。アクトはリアについてほかのテントに行った。
「レンくんもサクくんも、ずっとこのキャンプにいればいいのに。若い男の人があんまりいないから大歓迎だよ。」
そう言ったセイカはオレより1つ年下の14歳の少年で、オレ達と同じクローチだ。
「まあ、テントはせまくなるけどな。」
20歳でアントのナヅルが笑った。
「でも別にいいよ。2人ともずっとここで暮らそうぜ。」
「ずっとじゃないよナヅルさん。ぼく達の新しいすみかが見つかるまでだよ。いつまでもこんな所にいたらいつか人間に見つかってしまうからね。」
「分かってるさ。で、どうなんだよ。ここに住むの?」
ナヅルにつめよられてオレはいそいで首を横に振った。
「オレ達は先に逃げた仲間達にたどりつかないといけないんだ。」
それを聞いたサクの顔が少しくもった。
「どうしたんだ?サク。」
「ちょっと来いよ。」
サクはそう言って立ち上がった。サクはオレをテントから少しはなれた所へ連れて行った。あたりはすっかり暗くなって小さな星達が空一面にちらばって夜空にわずかな灯りをともしている。月は出ていなかった。
キャンプに着いたときにリアが説明してくれた。
「アリの巣の人口は千人以上だったのに・・・100人弱か。」
サクがぽつりとつぶやいた。生き残ったアントや、ほかのハームフル達はそれぞれ3、4人の班に別れて、それぞれ協力し合って生きていた。キャンプのテントは大人2人がやっと入れるような小さなもので、そこに班のアント達は身を寄せ合って暮らしている。オレ達と同じテントになったのはナヅルとセイカという2人組でオレ達はすぐに仲良くなった。アクトはリアについてほかのテントに行った。
「レンくんもサクくんも、ずっとこのキャンプにいればいいのに。若い男の人があんまりいないから大歓迎だよ。」
そう言ったセイカはオレより1つ年下の14歳の少年で、オレ達と同じクローチだ。
「まあ、テントはせまくなるけどな。」
20歳でアントのナヅルが笑った。
「でも別にいいよ。2人ともずっとここで暮らそうぜ。」
「ずっとじゃないよナヅルさん。ぼく達の新しいすみかが見つかるまでだよ。いつまでもこんな所にいたらいつか人間に見つかってしまうからね。」
「分かってるさ。で、どうなんだよ。ここに住むの?」
ナヅルにつめよられてオレはいそいで首を横に振った。
「オレ達は先に逃げた仲間達にたどりつかないといけないんだ。」
それを聞いたサクの顔が少しくもった。
「どうしたんだ?サク。」
「ちょっと来いよ。」
サクはそう言って立ち上がった。サクはオレをテントから少しはなれた所へ連れて行った。あたりはすっかり暗くなって小さな星達が空一面にちらばって夜空にわずかな灯りをともしている。月は出ていなかった。